五感すべてで愉しむことで、英気を養う時間に
CANALIZE meets Miho Mizoguchi | 菓子屋ここのつ
――お茶に関してはこれ、という基準があるのでしょうか。
「茶寮では、お出しする菓子に合わせてその都度、お茶をセレクトします。あくまで菓子ありきの茶、ということで種類などは限定していないんです。今日お出ししたのは、苦味のない宮崎産の和紅茶です。お茶農家さんから頂いた茶に、私のほうで季節の果実を合わせてお出しすることもあります」
――溝口さんが茶を淹れる所作や器を眺めて過ごす時間も、茶寮での愉しみのひとつですね。
「はい。器選びは私自身の趣味のひとつで、毎月の茶寮では私の好きな方に“大切な一皿”をお借りして、それに見合う菓子を展示させて頂いています。茶を淹れる時の香りや音、菓子を噛み締めた時の味わいや食感。足を運んで頂いたからこそ、五感を使って、体全部で感じてもらいたいんです」
――実際にいらしたお客様の反応はどのような感じなのでしょうか。
「お一人で来られる方が多いので、自分の感覚に意識を向ける方、ぼーっとする方、さらに気持ち良くなってうとうとしてしまう方も時にはいらっしゃいます。ここでのひと時は、非日常的であると同時に、ここに来ることで次の1ヶ月の日常を頑張るためのエネルギーチャージの時間といいますか。どちらかというと“おけいこ”や“習い事”のようなつもりで時間を使ってくださる方が多いように感じています」
――茶寮をはじめたからこそ得られた経験、感じたことがあれば教えてください。
「この場にきて食べていただくことで、本当に美味しい、と感動される姿を目の前で見られるというのは貴重ですね。来て頂いているお客様のほうも、喋りながらではなく、ちゃんと味わうことに専念されているのでなおさら嬉しく、お客様あっての仕事とつくづく思います。実は“菓子屋ここのつ”という屋号は、子供の頃から親に、1日の終わりに今日の自分は10点のうち何点だったか振り返りなさい、と教えられたことに繋がっているんです。この茶寮で、自分としてできることは5つか6つ、あとはお客さまが来て頂くことで10(とお)になればと。ただ、小さい時からピカピカの丸い丸い泥だんごを丹念に作るなど、とにかく丸いものが好きでしたので、“こ”や“の”の丸い響き、お店の名前を呼ばれた時の雰囲気から“ここのつ”としたんです」
――ここは、ご自身にとってもエネルギーを補える場なのですね。最後に、茶寮のこれから、展望についてお聞かせください。
「そうですね。来てくれたお客様の幸せを祈るばかりです。それが私のエネルギーの源です。茶寮のこれからに関してはスタンスを崩さず、ブレず、自分を信じて続けていく。それに尽きますね。今後はもう少し気軽な、予約なしで私の茶と菓子を召し上がって頂ける場所を近い将来つくりたいと思っています。」
Fin
東京都台東区鳥越1-32-2
完全予約制
営業時間 金・土・日・月
1部11:00~14:00
2部16:00~19:00
料金 初回 1万円(2回目以降 7000円)
※茶寮の予約はショートメールにて
毎月1日の朝8時より翌月分の予約を開始
予約方法の詳細は以下 blogよりご確認ください。
菓子屋ここのつ 記 http://kokonotsu-9.jugem.jp/
菓子屋ここのつ/溝口実穂
2014年11月より、浅草・鳥越にて茶寮『菓子屋ここのつ』をはじめる。定員5名、完全予約制の2時間の茶寮では、甘いものやしょっぱいものを織り交ぜた7皿〜8皿の菓子と、それに合わせた6種類前後の茶を提供。茶寮では、「ここのつ20選」と題し、溝口さんがセレクトした茶器や花器・器などの古物や現代作家に作ってもらっているオリジナルの器などを購入することもできる。
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