作品をつくり続けることが生きるバランスをつくる
CANALIZE meets Osamu Yokonami
――カメラマンを始めたきっかけは何だったんですか?
「僕の親は自衛隊だったので、親からは公務員か自衛官か会社員になれって言われてました。会社員っていうのは机に向かう仕事だと思ってたんですけど、中学校のときに『池中玄太80キロ』というドラマを観て、カメラマンはいろいろな場所に行けていいなあって単純に思ったんです。朝から北海道に出かけていくような生活に憧れる形で、漠然と写真を撮り始めました」
――その頃は何を撮っていたんですか?
「カメラを買ってもらって、そのときは田んぼとかトンボとかを撮ってましたね。田舎でしたから」
――はじめは人物ではなかったんですね。最初から仕事にしたいっていう意識もあったんですか?
「いや、全然。その頃は漠然とカメラマンがいいんじゃないかっていうくらいで。なんとなく写真の学校は行ったほうがいいんじゃないかなと思って、2年は習おうと。ただただそれだけを決めていました。親は写真だったら警察の鑑識をやれって言ってましたけどね(笑)」
――写真は写真でも、鑑識だとだいぶ話が変わりますよね(笑)。専門学校に入ってからは、どんな写真を撮っていたんですか?
「大阪にあるドキュメンタリー志向の学校で、50cmくらいの距離で浮浪者を30人撮って来いっていう授業があったりするんですけど、自分はそういうことができなくて。日常というか、おじいちゃんやおばあちゃん、子どもばかりを撮っていました。ただ、その学校ではもちろん写真の撮り方もそうですけど、『写真とは何か』ということも学びました。上っ面じゃなくて、何を撮っているのか。何かを撮るうえで、ただパシャッと撮っただけではダメなんじゃないかなって考えるようになって。たとえば、日々同じ道を通るたびに撮り続けていると写真に深みが出てくるし、量を撮れば撮るほどどんどん成熟していく感じがします」
――『上っ面ではいけない』という考えのもと、ファッションの撮影はどういうことを意識して撮るんですか? ファッションの写真で難しいのは、やっぱり洋服を見せるということが前提にあって、その人の人生というか、深みみたいなものを写すのは難しい気がするのですが。
「ファッション写真が大好きで撮っている人は、そういう考え方ではないと思うんですよ。ポージング然り、今っぽいというか、そういう要素を取り入れるのがうまいというか。自分はそこには興味がなくて、逆にモデルはあんまりポーズをしなくていいし、むしろいかにそれを崩すかっていう感覚ですね」
横浪 修/写真家、1967年京都府生まれ。大阪ビジュアルアーツ卒。文化出版局写真部入社後、中込一賀氏に師事。現在、「装苑」「GINZA」「SPUR」など数々のファッション誌をはじめ、広告やアーティスト写真など幅広く手がけている。作品『1000children』、『ASSEMBLY』、『ASSEMBLY Snow』は、海外からの評価も高く、個展も精力的に行っている。
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