作品をつくり続けることが生きるバランスをつくる
CANALIZE meets Osamu Yokonami
――それだからなのか、横浪さんのファッションポートレートには、何か人間味というか、物語みたいなものを感じます。
「ファッションの写真としては、自分の中で好きなテイストが3つあるんです。ピュアなポートレートか、その人の本当にハッピーな表情か、どこか不思議でシュールな感じか。シリアスでクールでっていう、世間一般でカッコいいとされる、いわゆるモード写真は興味がないんです。昔は無理してやってた時期もあるんですけどね。その時代のファッションやビジュアルの流行もあるから。でも、根本的に好きなテイストは変わりません」
――技術的な部分で変化はしていますか?
「光の感じは昔とはだいぶ違いますね。たぶん、意識しているわけではないですけど、ファッションに関しては時代の流行も察知しているんだろうなとは思います。今のものを否定しないように、今を受け入れようという気持ちがいつもあるので。ただ、技術的に、あるライティングが流行ったとしたら、全盛のときにそのライティングをするのではなく、無意識に半テンポずらしてやっている気はしますね。それがいいことかどうかはわからないけど」
――写真が変化していく人と、ずっと変わらない人がいますが、横浪さんの写真は根底の部分は変わらずに、表現は変化している気がします。
「ファッションを撮るときは、頑なすぎても写真が古くなるんですよ。自分のスタイルやベースはあるんですけど、ファッションには時代の空気感があるから、ちょっとアップデートしていかないと。その時代の流れが何かっていわれたら言葉にはできないんですけど、それを感覚で察知していくっていうことですよね」
――撮っているとき、ファッション写真を撮っているという意識はあるんですか?
「自分の中では、ファッションが好きだから写真を撮っているというより、写真が好きだからファッションを撮っている感覚です。最近こういう服が出てきて、こういう感じが流行ってるんだ、っていうことはわかるんですけど、それをどう切り取るかは写真的な話になるので。ただ、ポートレートを撮るときとは違う意識は働きますね」
――デジタルが入ってきたときはどう思いましたか?
「最初はフィルムしかやらないって言っていたけど、時代がそういう流れなんだから合わせないとなって感じです。昔はみんなふんどしをつけていたけど、今はみんなパンツをはいていて、自分はそのままふんどしをはき続けるかのどうか。そのうえで、自分はフィルムしかやらないっていう態度を貫くならいいいけど、その分失うものもある。僕の場合、自分を貫くのは作品で、っていう頭がありますね」
横浪 修/写真家、1967年京都府生まれ。大阪ビジュアルアーツ卒。文化出版局写真部入社後、中込一賀氏に師事。現在、「装苑」「GINZA」「SPUR」など数々のファッション誌をはじめ、広告やアーティスト写真など幅広く手がけている。作品『1000children』、『ASSEMBLY』、『ASSEMBLY Snow』は、海外からの評価も高く、個展も精力的に行っている。
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