作品をつくり続けることが生きるバランスをつくる
CANALIZE meets Osamu Yokonami
――時代は常に変化し続けていくということは、最近とくに実感しています。
「時代はいつも流れているから、ちょっと立ち止まったらあっという間に見えなくなるんです。仕事ばかりやっていても、忙しさに流されて、ふとしたときに『そういえば何やってるんだろう』っていう気持ちにもなるし。だから、仕事をしながら、作品も撮り続けるっていうバランスがいいのかなって思います」
――生きていく上でのバランス感っていうことですよね。
「仕事は仕事の楽しさがあるんですよ。自分は広告も雑誌もいろいろ撮るので。広告は規制の中で撮るから、広告だけに偏っても息詰まる。かといって雑誌だけだと、スピードが速いから時代に流される。広告も雑誌も撮る、そして作品を撮り続ける。なんとなくバランスよくやれてるかなとは思いますね。実際、作品をつくるにはお金もかかるので、仕事をして、作品に費やすという側面もありますし」
――作品でいうと、果物を肩で挟んでいる子どもたち『1000children』や、同じ服に身を包んだ少女たちの集合体『ASSEMBLY』と『ASSEMBLY Snow』が有名ですが、海外からの反応も大きいようですね。
「今は、誰かが自分の写真をアップして文章書いてくれて、いつの間にか話が広がったりする時代なので……。以前はウェブに対して懐疑的な部分もあったのですが、数年前から海外からのアプローチも増えて、ネット上だと世界がひとつだって気づいたんです。写真の世界は一種の独特な閉塞感があるというか、マニアックな一面もあって。僕はコマーシャルも結構撮っているから、“そういう人が撮っている写真”という見られ方もしたし、自分がやってきたことも、日本の中だけだとそんなには認められていなかったと思うんです。でも、世界ではバックグラウンドは関係なく、自分の写真として見てくれるんですよ。それで、自分のやりたかったことは、間違っていなかったのかなってやっと確信を得ることができました。その人の今までの実績は関係なく、一枚の写真として見てくれる。そこが平等でいいですね」
――海外からはどんなアプローチがあるんですか?
「所属しているギャラリーがL.Aとかオランダのフォトフェスティバルに展示してくれるので、それを見て買ってくれる人がいたり、海外誌から仕事の依頼が来たり、インスタグラムを見てくれている人がいたり。結構大きな写真も売れていって……自分ではこの写真がこんな風に売れていくとは思ってもいませんでした」
――『ASSEMBLY』は、横浪さんならではのピュアさがありながら、ちょっと不気味さも感じるというか……でも、そこが魅力なんですよね。
「制服は、海外だと私立にしかないので、ある種日本独特のもので、特に白と紺っていうところが宗教的に見えるんですよね。僕は意識してないんですけど、向こうの人からしたら神秘的に映るのかもしれません。何もない自然の中で、制服を着た女の子の集合体が浮き立つ様を撮りたくて始めたら、だんだんそれが広がっていった感じです。でも、つねに行き詰まりはあるんですけどね」
横浪 修/写真家、1967年京都府生まれ。大阪ビジュアルアーツ卒。文化出版局写真部入社後、中込一賀氏に師事。現在、「装苑」「GINZA」「SPUR」など数々のファッション誌をはじめ、広告やアーティスト写真など幅広く手がけている。作品『1000children』、『ASSEMBLY』、『ASSEMBLY Snow』は、海外からの評価も高く、個展も精力的に行っている。
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