作品をつくり続けることが生きるバランスをつくる
CANALIZE meets Osamu Yokonami
――いろいろなことが簡単にできる時代にあって、簡単に始めて簡単にやめられるという側面もありますよね。そんな中、横浪さんのアシスタントについていた方々は皆さん活躍されていますよね。
「独立したらブック(作品)が名刺代わりなので、まずアシスタントをしながらブックを作るように話しています。あとは、アシスタントのときは周りのスタッフも可愛がってくれるけど、独立したらやっぱり仕事目線になるので、勘違いしないようにと。仕事は人との繋がりでもあるから、謙虚な気持ちを持つようにっていう話は飲みにいったときによく話します」
――横浪さんの血を受け継いでいる人もいれば、全然違う写真の人もいるし、それも面白いですね。
「逆に、僕と同じことをやっていてはダメなんですよ。何よりオリジナリティが大事ですから」
――ご自身は今後、どのような方向に向かっていくと感じていますか?
「ファッションの仕事は世代交代でなくなっていくのは間違いないと思っています。年齢でいうと、昔は40歳くらいでファッションの仕事はなくなるものだったので、今でもやっていることを考えると続いているほうだとは思いますが。広告に依存していたときもありましたけど、じゃあその広告が残るかっていったらそういうわけではない。インスタでアップしたものは、世界観は伝わるけどやっぱり残らない。だから結局、作品をつくり続けるっていうことですよね」
――とてもシビアにお考えなんでね。
「作品は自分の意志でしかないから、生みの苦しみもあるしお金もかかるけど、今つくり続けているからこそ、仕事のオファーも来ているんだと思うんです。好きなことだけをやっていればいいかと言われると、好きなことだけをやってても息が詰まるから仕事もする。ただ、止まることは一番ダメで、つねに走り続けていないといけないっていう気持ちはあります」
――自分が心地よくいられるバランスを探すということでしょうか。
「結局、いろいろなことの前提として、生きるって何なんだろうっていうことなんです。仕事には1日の1/3くらいが費やされていることを考えると、自分自身が心地よくいられないと写真は撮れないから。そのバランスをとるために、いろいろな仕事をしているんですよ。肩の力を抜いて撮るときもあるし、気合いを入れて撮るときもある。それに、現場の雰囲気が写真にも出ると思うんです。自分の気持ちが晴れていないと写真も曇るし、楽しく撮ると写真も生き生きするから。モヤモヤした気持ちのまま撮った写真は、周りがいいって言っても、自分はよくないんです。人との繋がりを大切にしながら、楽しく心地よく仕事に臨む。そして、自分の意志を残した作品をつくり続ける。その作品を評価するのは、その人その人、それぞれでいいんです」
Fin.
横浪 修/写真家、1967年京都府生まれ。大阪ビジュアルアーツ卒。文化出版局写真部入社後、中込一賀氏に師事。現在、「装苑」「GINZA」「SPUR」など数々のファッション誌をはじめ、広告やアーティスト写真など幅広く手がけている。作品『1000children』、『ASSEMBLY』、『ASSEMBLY Snow』は、海外からの評価も高く、個展も精力的に行っている。
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