おしゃれなのは当たり前、プラス、どんな価値があるのか
CANALIZE meets Akiko Murata | MA déshabillé
――現在、服づくりに使われているのはどんな布なのでしょうか。
「タイのシルク、コットン、ヘンプ。日本の現代的なジャージーはやっぱりすごく優秀なので取り入れています。あとはヨーロッパなどで買い付けたヴィンテージの生地などですね。
――量産をしないということについて。先日、伊勢丹 新宿店で行われ盛況を博したビスポーククリエーション(カスタマイズ注文)は、どういった経緯で実現されたのでしょうか。
「MAは、メーター単価が非常に高い生地を使っている以上、大量生産は難しい。それに、私自身がヴィンテージディーリングでクチュールの素晴らしさに触れてきたので、大量生産というシステムとの相性が悪いのです。かといって、昔できていた一点ものオーダーメイドを、いま同じように行うのは非効率ですよね。折衷案の”効率”を、探していました。モノに付加価値をつけるのは、デザイナーや売り手の役目のように思われている人も少なくないと思うのですが、私自身がひとりのお客様になったつもりで。工場側に私の求める価値の受け皿になってもらうようなことが可能にならないかな、と。カシミヤの糸を使って刺繍を打って欲しい、といっても糸が切れる、とか、効率が悪い、とか言われるだけで、こういう話をわかってくれる方がなかなかいなかったんです。それが今回、伊勢丹さんからお話をいただくにあたって、フクル(セミオーダメイドでの受注の仕組み構築し、脱・大量生産に取り組んでいる)さんと繋がることができました」
――実際に、カスタマイズされるお客さまは多かったのでしょうか。
「来てくださった方はほぼみなさん、というくらいで。以前も、パイピングやボタンはお客さまが選ぶこともできますよ、とひっそりアナウンスしていたんです。でも、その頃はとくに選ばない人が多かったので、カスタムしたい方ってあまりいないのかな、と思っていました。それが今回は、えっ、こんなにいたの!? って(笑)。パーソナライズは、オーダー内容にその人自身が本当によく表れるので興味深かったですね」
――細かなディテールはもちろん、花柄プリントの美しさも特徴のひとつですよね。
「今日持ってきたものだと、この青いパジャマシャツは、藍染めです。私が日本舞踊を習っていた縁で、人間国宝の方が染めた布をいただいて。それを襟元に使っているという贅沢な一枚です。フリルのついたグレーのものは、MA定番の花柄でシルクスクリーンプリント。試作の時にこの線が太くですぎてしまって、キャラクターものじゃないんだから! って憤ってしまった思い出があります(笑)。そしてわりと最近のものが、花束にカモフラージュする、というイメージでつくった花柄迷彩です」
村田明子/MA déshabillé デザイナー
アントワープ王立芸術アカデミーファッション科卒。在学中にルイ・ヴィトンの150周年を記念するアクセサリーデザインのコンペにて大賞。Vivienne Westowoodでインターンとして働いた経験も。卒業後はスタイリストやヴィンテージディーラーを経て日本に帰国。2013年より『MA déshabillé』をスタート。
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