好きなものを追求することで自分をアップデートする
CANALIZE meets TOMITA LAB
――以前と比べて、あらゆることにおいて効率やスピード感がかなり重視されるようになった気がします。
「社会に余裕がない時代はしょうがないですよね。でも、適当という意味ではなく、スピーディにつくったもののほうが、自分にも、リスナーやオーディエンスにもアピールする時代だってことは感じてるんですよ。音楽に対して自分の人生の時間をたくさん使ってきたから、たとえば僕やいろいろな音楽家が5分で1曲作ったとして、でもその5分が何十年という人生の集積だったりするので。そういう意味ではパソコン一台で完結した作品にも素晴らしい作品はたくさんありますよ」
――時間やお金を掛けて音楽をつくるという経験がない若手ミュージシャンに対してはどのような考えをお持ちですか?
「若い世代は僕らとインプットの方法が変わっていて、自分が求めているものに早く辿りつけるし、その辿りついたもののバリエーションもたくさんあります。それを自分のインスパイア元としてつくっているから、それはそれで説得力をもってたりするんですよ。リアルタイムで情報が共有できるのはネットの恩恵だと思うんだけど、僕らもその恩恵にはあずかっていますし。ただ、僕らの場合は、今言ったように積み重ねてきた音楽の作り方がベースにあった上での恩恵なんです。若い世代は、最初から今の状況があるわけで、そういう音楽がどのように成長していくかってことは、すごく楽しみでもあります」
――好奇心ってことですよね。
「だけど、最初の質問に戻ると、それが今の音楽産業や、対価を払う、払わないっていう問題を解決するかどうかはわかりません。その点についてはまだ解決策が出ていないんですけど、音楽を楽しむっていうリスナーの立場からすると、若い人たちのアプローチが今後どういう風に成長していくかは楽しみですし、僕らの興味をひくような新たな手法もどんどん出てきています。このように、音楽をつくったり楽しんだりするということにおいて状況がすごくいいので、そういった状況は産業にとってもプラスに働くのではないでしょうか。やり方が今までのままじゃダメでしょうけど」
――作るにしろ聴くにしろ、以前と比べて音楽に入りやすくなっていますよね。
「入りやすくなったし、早く深く掘れるようになりましたよね。昔はいろいろな文献を調べて、レアなレコードを探しに探して、やっと聴けるっていう状況でしたから。そのプロセスにもいろいろな経験があるし、それが深く入り込んだともいえるんですけど。でもやっぱり、早く深く知ることができて、それについて自分たちで解析して、関係するものにも簡単に出会えるっていうことはとてもいい環境ですから、音楽自体にはすごく期待できると思いますよ」
Profile
冨田ラボ
音楽プロデューサー、冨田恵一氏のソロプロジェクト。“アーティストありき”で楽曲制作を行うプロデュース活動に対し、“楽曲ありき”でその楽曲イメージに合うヴォーカリストをフィーチャリングしていくことを前提として立ち上げたプロジェクト。松任谷由実、高橋幸宏をはじめ、数々の名だたるアーティストが参加している。昨年発売のアルバム『SUPERFINE』では、水曜日のカンパネラのコムアイやSuchmosのYONCE、ceroの髙城晶平など若手アーティストを起用し、新境地を切り開いたことでも話題となった。
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