これからの時代において、本当に満足できる洋服とは?
CANALIZE meets TAISHI NOBUKUNI

2017.08.12

――いま、お客さんはどういった方が多いのですか。

「年齢的には30~50代の方が多いですかね。職業はさまざまです。紹介という形でお会いする人がほとんどで、いまは月に3~4着を作っています」

――一口にオーダーといいますが、どこまでオーダーできるものなのでしょう?

「オーダーというものは、大きさや丈が合っているというのは大前提で、前後左右の体のズレまでを数値化して表すものです。実はお客さんって、それほどはっきりとした希望を持っていないことが多いんですよ。例えば、生地を送っても決められず、話し合いの中で決めていかないといけません。だから、誘導尋問のようにして、仕様は主に僕が決めていくような感じです」

――サロンをオープンしてから4年。ここまでの道のりは当初のイメージと近いものですか。

「ずっと自分の力のなさを感じていますね。いま、オーダーと謳っているもののほとんどはパターンオーダーと言われるもので、大半は工場で作られています。当初は自分もそのシステムの中でスマートにやれるものと思っていたのですが、工場ではなかなか満足できるレベルのものができません。また、お客さんとしてもパターンオーダーでは中途半端のようで、いくらかかってもいいからフルオーダーを求める人、もしくはとにかく安く着たい人かのどちらかなんです。そうした理由から、今では作業のほぼすべてを自分でやるビスポークテーラリングがメインになりました。だから、特に縫うことに関してはずっと勉強を続けています」

――以前、オーダーに対して恐怖心を持ってやっていると話されていた記憶がありますが、それは今でも変わりませんか。

「それは採寸への恐怖です。採寸方法にはふた通りあって、身長やバスト寸から割合を計算していくやり方と、より細かく採寸を行うやり方。僕は後者のショートメジャーの方法を用いながら、服部 晋さんというテーラーの方が考えた斜辺裁断法を取り入れ、さらにそれを応用して、お腹を正確に計っています。自信がないから、いろいろな技を組み合わせているんです」

――そうした採寸への取り組みの、先にあるものは何でしょう?

「求めているものは、お客さんにとっての着やすさで、実はそこに見た目も付いてきます。人の体はどこか必ず歪んでいますが、それを無理に治す必要はないと思っているんです。というのも、歪みにはまず別の原因があり、それをかばうために歪みができているので、歪みを治すのではなく、もとを治すようにすべきだと。服でいえば、例えば右肩が落ちているときにパットを厚くするというやり方もありますが、そうすると肩の線は真っすぐなのに、なぜか全体は妙に歪んでしまいます。でも、歪んだ体にそのまま服を合わせてあげると、真っすぐに見えるのです」

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Photo_MURAKEN
Text_YUSUKE MATSUYAMA

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