ファッションでハッピーになれる、ということをカタチにしていく
CANALIZE meets HIROFUMI KURINO
あくまでも着る人が主体。
服自体がよくなければ意味がない
――ファッション界にとって、この1年はどのようなものだったでしょうか。
「個人としては、ファッション業界や商品について報道するメジャーなメディアの体温と、デザイナーや生地メーカーといったモノをプロデュースする側の人たち、現場にいる我々、モノを買っていただくお客様、それらの間にかなり温度差があると感じています。例えば、ファッション業界について語る媒体、業界のジャーナリズムは“シーナウ・バイナウ”をよく話題にしていました」
――ファッションショーで発表されたアイテムをすぐに購入できる、というものですね。
「ニューヨークコレクションはその動きにいち早く反応し、一昨年くらいからそういった手法を導入しようとしてきましたが、日本のファッション業界やジャーナリズムは、“そうならないといけない”と思っている節があるようで、『日本は遅れている』といった旨の報道を散見しました。でも、どちらかというと僕はそれに対して懐疑的です」
――その理由とは?
「シャネルなどのメゾンも早々に『いいクリエイションを作ろうと思ったらできるわけがない』と宣言していましたし、トム フォードは間違いに気づいて元に戻そうとしています。確かに時代に合ったリクエストかもしれませんが、ショーは一種のパフォーマンスですから、時間、場所、キャスティング、音楽、空気、あるいは、そこで何分待たされたとか、そういうことも含めて感動が生まれるわけです。“シーナウ・バイナウ”が必要か必要でないかは、その観点が欠落している議論だと思います。見たモノがすぐに買えるような仕掛けがあってもいいけど、それを全員が目指す必要はないですよね」
――ファッションが多様化し、求められるものがさまざまになっている中で、業界ジャーナリズムには「一点に固執して、こうあるべきだ」という考え方も色濃く残っているように思います。
「システムやしつらえのことを気にし過ぎて、作り手やお客さんのことを忘れているのかもしれません。僕はここ2年くらいよく“ニューリアル”という言葉を使っていますが、今は新しいリアリズムの時代だと思っています。例えば、まさかと思ったドナルド・トランプが当選したことは、まさにアメリカ的な物質主義とにぎやかしの象徴です。パワーを持つ人に節操がないというのもまた、今の時代の表れ。それはファッションブランドも同じです。メジャーなブランドは国家予算並みにお金を持っているから、そうなるとやることがより壮大になっていき、そのスケールを巡る競争になっていきます」
栗野宏文
ユナイテッドアローズ クリエイティブディレクション担当 上級顧問。大学卒業後、鈴屋に1年半勤務した後ビームスへ入社。ファッションにおける経験と実績を積み、1989年にユナイテッドアローズの立ち上げに参画、数々の要職を経て現在に至る。ツイードをおしゃれに着こなし、街を自転車で楽しく走ることを目的とした『TWEED RUN TOKYO』の実行委員長。昨年、Vogue.comにて「ファッション界で最もスタイリッシュなメンズ30人」のひとりにも選ばれている。
Latest Posts
-
<CANALIZE>2020.12.8 創業4周年にあたり
御礼&創業記念祭のお知らせ2020.12.08
-
CANALIZE meets Eri Ristori|ADER.bijouxデザイナー・株式会社atelier W 代表取締役 英里・リストリ
フランスへの憧れが生み出した自分にしかできない...2020.07.22
-
新作のご紹介
NEWS2020.06.11
-
お詫び|
商品のご配送を一時的に休止いたします。
NEWS2020.04.28
-
CANALIZE meets Michiko Nakayama|ファッションデザイナー 中山路子
人の心を、社会を動かす、ファッションという魔法...2020.02.27
-
CNLZ商品新入荷のお知らせ
NEWS2020.02.25