ファッションでハッピーになれる、ということをカタチにしていく
CANALIZE meets HIROFUMI KURINO
――いくつか思い当たる例がありますね。
「人の行かないところでショーを開催したり、飛行機代を払ってまで人を呼んで大がかりなことをしたり。何をしてもいいのですが、結局は服がよくなければ意味がない。そういうことをやればやるほど、本当に見に行くに値するほどの服なのかと思われてしまうわけです(苦笑)。昨年10月の東京ファッションウィークに、パリからコシェというブランドを呼びましたが、そこではお金をかけていません。原宿のストリートをランウェイにしたから場所の使用料がかかりませんし、35名のモデルは全員がボランティア。資生堂さんに入っていただいたのでメイクにもお金がかからず、光源となる提灯はモデルに持ってもらいました。かかったのは彼らの旅費と照明代くらいです」
――コシェはこれまでもずっと、ストリートでショーを行ってきましたよね。
「ストリートでのショーはかつて下北沢で行われた例がありますが、東京コレクション期間中、正式に開催されたのは初めてです。見え方はゲリラ的ですけど、もちろんきちんと許可を取って行いました。結果的に1,000人近くの人が集まり、予想を超える大きな反響をいただけました」
――ソーシャルメディアでの反応も相当なものでしたね。
「男女のミックスに加えて実はシーズンミックス。そして、何と言ってもストリートキャスティング。年齢もスタイルもさまざまながら、全員よく服が似合っていました。洋服って本来そういうものですよね。それなのに、ここ数年のファッションをめぐる状況はいわゆる“セレブリティ・ハイプ”なので、セレブが着て似合うような服しかない。そのフォロワーたちにとってもインスタ映えすることが何よりも重要ですから、服のクリエイションや、自分に似合うかどうかは関係がない。瞬間芸、つかみ芸的な」
――買ってインスタに上げ、着ないまま売ってしまうこともあると聞きます。
「それどころか、フィッティングで写真を撮影して、買うことなく試着だけで済ませてしまいますから。服屋はそうやって利用されるだけで、本当に洋服が好きな人にハピネスはあるのかと……。でも、コシェのショーをやってみて、これがファッションだろうと改めて思えたんです。いい意味で驚いてもらえるようなシチュエーションを作り、きちんと見せること。ファッションはライヴな存在じゃなきゃいけないし、ヴィヴィッドじゃなきゃいけない。着る人が主体であるべきですよね」
栗野宏文
ユナイテッドアローズ クリエイティブディレクション担当 上級顧問。大学卒業後、鈴屋に1年半勤務した後ビームスへ入社。ファッションにおける経験と実績を積み、1989年にユナイテッドアローズの立ち上げに参画、数々の要職を経て現在に至る。ツイードをおしゃれに着こなし、街を自転車で楽しく走ることを目的とした『TWEED RUN TOKYO』の実行委員長。昨年、Vogue.comにて「ファッション界で最もスタイリッシュなメンズ30人」のひとりにも選ばれている。
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