ファッションでハッピーになれる、ということをカタチにしていく
CANALIZE meets HIROFUMI KURINO
おしゃれバカ力に磨きをかけて
洋服での自己表現を楽しむ
――新しいことを始めるというより、原点に返るといいますか、余分なものを削ぎ落としたような印象です。
「それを結果として、新しいものと感じてもらえたら嬉しいですね。いまの世の中、小手先でやっているようなことが多すぎる気がしませんか? 服じゃないこと、例えば音楽やアートとのコラボレーションとか、僕も好きですから仲良くはしたいけど、虎の威を借るようなことは嫌なんです。多くの人がどうも勘違いしているのは、話題になる人気者になることを目的化していますが、それはいつか飽きられるということでもあること。変に流行ってはいけない。どんなにいいモノでも流行ると廃れてしまうから、むしろ流行らないほうが良いくらいです」
――そのサイクルも加速していますね。
「恐ろしいくらいに速い(笑)。そうすると流行りを使い捨てするために生きているようなものじゃないですか。すごく不毛ですよね。とても健康的だとは思えません」
――先ほどシーズンレスというキーワードもありましたが、変化をしていくのがファッションで、だからこそビジネスが成り立つ側面もあります。それはどのようにして両立させていくのでしょうか。
「所謂春夏秋冬のコレクションシーズンとは異なる時間の軸もあると思うので、それを考えつつ変化させていこうとも思っています。シーズンレスとかトレンドを超越するということは、変化しないということではありません。実は着物のカルチャーがまさにそういうもので、着物にデザインはなく、型はひとつしかない。生地が違うだけでしょう?これはあくまでも持論ですが、我々日本人のDNAの中には、ただ着るのではなく、着こなすとか着崩すとか自分のものにするとか、そういった行動パターンがもともとあるんじゃないかと思っているんです。みんなが違った着方をするから、その人らしさが出る。洋服の着方もそれと同じようにあると思います」
――落語の流行りもありますが、型のあるものに人が戻り始めているのかもしれません。
「いままたスーツやネクタイが売れていますし、これからもっと売れていくようにも思います。実は先ほどもシャツ屋のサルヴァトーレ・ピッコロとの話の中で、インフォーマルでもネクタイをする人が増えるだろうという話題になりました。それはすごく面白いことです。会社に行くからスーツを着る、ネクタイをする、そこに主体性はありません。相手に合わせているからハピネスが見つけにくい。でも、着て行かなくてはいけないから、ということではなく、今日はこういうスタイルの自分でいこう、と主体的で前向きにスーツやシャツ、ネクタイを選ぶことができたら、それは制度に負けていないということであり、制度と戦えているということでもありますよね」
――自分らしい洋服を選ぶように、お店に行くこともまた自己表現のひとつになったらおもしろいですよね。
「セレクトショップの初期や80年代の第1期DCブランドブームのように、お店に自分のアイデンティティを背負っていくというか、お互いのアイデンティティをクラッシュさせることができたらいいですね。それをUAの雛形にしたいとも思います。もともとはそういう会社ですが、大きくなってその点が薄まってきているので。ユナイテッドアローズワンだけではなく、日本全国津々浦々、どこへ行っても販売スタッフとお客様が洋服で自己表現をし、セルフアイデンティティの確立に必要不可欠なものとして確認し合えるようなお店。それをすべての従業員で実現できたらと。僕たちの誇るべきは“おしゃれバカ力(りょく)”です(笑)」
栗野宏文
ユナイテッドアローズ クリエイティブディレクション担当 上級顧問。大学卒業後、鈴屋に1年半勤務した後ビームスへ入社。ファッションにおける経験と実績を積み、1989年にユナイテッドアローズの立ち上げに参画、数々の要職を経て現在に至る。ツイードをおしゃれに着こなし、街を自転車で楽しく走ることを目的とした『TWEED RUN TOKYO』の実行委員長。昨年、Vogue.comにて「ファッション界で最もスタイリッシュなメンズ30人」のひとりにも選ばれている。
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