ファッションとは無縁の生活から生まれた自分らしい服づくり
CANALIZE meets AYUMI TANABE

2017.11.27

タイシルクを普段着に!
消えゆく伝統への孤高な挑戦

――去年立ち上げたブランド、『ari』はタイシルクを使っているのが特徴ですよね。以前からタイがすごく好きだと聞いていますが。

「はい。もう本当に好きなんです(笑)。行き始めたのは20年以上前で。なかなかうまく伝えられないというか、変な話なんですけど、行ったことがないのに見たことがある景色がたくさんあるんですよ。だから、なんかもともとここに住んでいたような気がするし、食べ物も美味しいし、人も好きだし、暖かいところも好きだし、自分の好きな要素がすごく多くて。若い頃から縁があって、子どもが生まれるまではよくひとりで行ってふらふらしていたんです」

――いつ頃からまた通い始めたんですか?

「行かなくなってからずっとムズムズムズムズしてて、5年くらい前にやっぱりどうしても行きたい! って、ひとり旅病が再発(笑)。それでまたタイに通うようになったんですけど、そうしているうちに、このまま自分がタイに来続けるためには何をしたらいいんだろうって考えるようになって。毎回行くたびに、タイと繋がるために何かしなきゃって思うようになったんです」

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――タイと繋がりたいという思いから、タイシルクに向かっていったんですね。

「タイシルクって、現地でも着る人が少なくなっていて、若い人はもうあまり着ていないんですよね。おじさんやおばさんが正装するときに着るもの、みたいな感じになっていて。工場もどんどん潰れていっていると知って、こんな素敵なのにもったいないなと思い始めたんです」

――タイシルクの存在は以前から知っていたんですか?

「目にはしていたんですけど、自分で何かに使おうとは思っていなくて。扱いが大変そうだし、日常的な素材っていう感じはしないですよね。それで、実際に普段から着るものにタイシルクを使えないかなって思ったんです。本当に作るとしたら、洗濯機でもバンバン洗えるものにしたかったので、市場で聞いたら『洗えることは洗えるよ』って言われて。実際に生地だけ買って洗濯してみたら、あ、全然平気だ、みたいな(笑)。これだったら使えると思いました」

――シルクを自宅で洗うのってなかなか勇気がいりますよね。

「タイの人たちには考えられないみたいです(笑)。手洗いして、ピシッと糊付けして着るものなので。でも、私はもっとラフに着たいから、洗ってもアイロンは掛けないし、多少くしゃくしゃでも、そのままでいいっていう考えです。普段から使えたら若い人たちも着られるんじゃないかな、なんでみんなこういう風に使わないんだろうって」

――それでタイシルクで服作りを始めたんですね。

「タイシルクっていうものに目がいったときに、そういう視点から服作りを始めるのであれば、自分にしかできないことができるかもしれないと思うようになって。とにかく私はタイと繋がりたいっていうところから入っているので、自分としてはファッション的なことをやっているつもりは一切ないんです。自分がやっていて楽しくて、タイにも少し貢献できたらいいなというか」

――タイシルクを広めるっていうことですよね。

「そうですね。今、タイシルクっていっても、カンボジアやラオスで作られているものが多いうえに、それを仕事にしてももう需要がないってことで、どんどん減っているんです。それに、日本人というか、外国人目線でタイシルクと接することで、タイの人も、え、こんな風にするんだって面白がってくれるんですよ。そういう交流も深めていけたらいいなって思っています」

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Photo_MURAKEN
Text_AYA FUJIWARA

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