コアなまま、いつまでも劣化しない情報を
CANALIZE meets Amvai

2017.12.24

――サイトがオープンして1年半くらいですが、反響はいかがですか。

山下裕「“ちょうどよくない”とよく言われます(笑)。やはり少し掘り下げすぎているときもあるのかと」

前淵「僕はあまり感想とかは聞いていないですね。私的なことを書くのは今までの生き様をさらけ出すようで、恥ずかしさもありまして。ほかの人が書いたものを読みながら、ボキャブラリーがないことを日々反省しています(笑)」

小林「お店に来るお客さんには好評ですが、メインの読者である30~40代の方は、昔話をあれこれ想像しながら読んでいるようです。自分と山下(裕)さんなんかは歳が近いので、昔流行ったスニーカーの話をすればそのときの空気や匂いまで共有できるけど、知らない人が読んで面白いのか、どこまで深く書いていいのかと悩みますね。ビートルズのように世代関係なく楽しめるものがいいんだろうとは思いつつ、そこを目指すとなんか頭にきちゃって、ついつい突っ込んで書きたくなっちゃう(笑)」

――では、いまのファッションシーンはどのように映っていますか。

山下英「紙のメディアの話をすると、去年くらいから曲がり角に来ていると改めて感じます。生き残っているのはマス向けなものばかりで、靴磨きなどのハウトゥー本も調子がよく、ファッションへの関心はそういった方向に向かっていますよね。“かっこよくありたい”よりも“おかしくなければいい”という。一方で、ウェブメディアはより自由度が高いからディープなものも求められ、だからこそAmvaiにやりがいを感じるんです。キャプションひとつとってもその人の主観で書かれていた、かつての雑誌の楽しさがあると思います」

小林「僕がいま気になっているのは“憧れ”でして、いまは憧れることがあまりないように思います。我々の世代のように何かしらのカルチャーに憧れることはなく、食べるものを我慢してまで洋服を買うこともほとんどありません。だから、そういうところを掘り起こしたい気持ちがあります。若い人たちが洋服に冷めているのを見るのは悔しいんですよ」

前淵「日本にはそういうものがなくなってしまいましたね。僕はいま韓国の人たちと仕事で関わっていますが、韓国の若い人たちは、それこそほか弁みたいなものを食べ、がんばって高い洋服を買うとか、それを着ておしゃれなカフェに行くとか、そういうことに憧れる風潮が残っています。残っているというか、新たに始まったのかもしれませんが」

小林「逆をいえば、良くも悪くも人間として成熟したのかもしれません。1990年代にパリへ行くと『なんで若い奴がエルメスで買い物をしているんだ』とフランス人から冷たい視線を受けていましたが、それがいまでは我々日本人が韓国や中国の人たちに同じような視線を向けています。洋服をつくる側の人間としては、もっと熱くなってほしいんですが」

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Photo_MURAKEN
Text_YUSUKE MATSUYAMA

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