コアなまま、いつまでも劣化しない情報を
CANALIZE meets Amvai

2017.12.24

山下英「平均的に上がって、ならされた感じはありますね。昔はすごくおしゃれな人もダサい人もいましたが、いまはみな横並び。ファッションの量販店を見てもある程度おしゃれなモノが置いてあり、それを着るだけでおしゃれに見える。昔は着方を勉強しないと、そうはいかなかったと思うんです。だから、雑誌を買って読み、ショップスタッフの着こなしを見に行ったりしていたんですね。そういう意味では真っ当ですけど、真っ当すぎてつまらない。それがモノをつくる人、売る人にまで広がっている気がします」

前淵「自分が学生だったときも、お小遣いがないのであまり買えないなか、何が楽しいかというと、ショップスタッフと話をして洋服を知ることでした。今そういうことは、あまりなさそうですよね」

山下裕「少し話は変わりますが、僕が最近ドキッとしたのは『洋服屋の人たちってダサいし古い』という言葉です。あるブランドのプロデューサーの発言なんですが、形や生地についてどうこう言っても、インスタじゃそんなことは伝わらないと。僕はそれについて肯定も否定もしませんが、今の若い人たちはそういう感覚なんだと改めてショックを受けましたね」

――そうした現在の状況を踏まえ、今後のAmvaiについての展望を聞かせてください。

前淵「この情報の時代、ネットストアはより大きくなっていくでしょうが、アメリカのようにリアルなお店がつぶれていく事態にはしたくないので、Amvaiはコアなままで賛同する人を増やしていければと思います」

山下英「雑誌の場合は書店やコンビニで目に触れることもありますが、ウェブサイトは面白くても気づかれないことが多くあるので、見てくれる人を増やしたいですね。より立体的に、リアルなショップでのイベントにも繋げていければとも思います」

小林「自分としては、著名人が使ったモノを紹介する本のような、マイナスな部分にもしっかり触れつつアピールしていく感じ、愛があるからこそ毒を吐いても許してもらえるサイトにしたいですね(笑)。マイナスな部分はあっても、それでも欲しいと思わせられるというか」

山下裕「僕の好きな本に開高 健さんの『生物としての静物』というエッセイがあります。モノを紹介する本の中でもいちばん完成度が高いと思っているんですが、Amvaiもいつか本になり、そこにはいつの時代にも劣化しない情報が収められ、旅に出るときの必需品と言われるようなものにしたいですね。まずはぜひ、サイトをのぞいてみてください」
Fin.

 

 

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Photo_MURAKEN
Text_YUSUKE MATSUYAMA

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