ニューヨークに、そしてニューヨーカーに愛された家具デザイナー。
CANALIZE meets Takeshi Miyakawa | takeshi miyakawa design 宮川 剛

2018.11.16

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【ビニールバックに光源を入れて街頭に飾ったインスタレーション】

 

—刑務所での生活を経験されたのですか?

 

はい、ただ僕が収容されてからすぐに、地元の新聞やデザイン関連のメディアが、この事件をアーティストの表現を理解しない不当逮捕であると記事にしてくれて、警察に抗議する『Free Takeshi』という反対運動が巻き起こり。抗議運動のFACEBOOKアカウントが立ち上がったりして、当時のブルームバーグNY市長に3000通以上の抗議メールが届く事態に。

 

塀の中の僕にはそんな情報も届くはずも無く、4日間床の上で雑魚寝するような生活の後、 5日目に大部屋のベッドのある環境に移り幸せを噛み締めていたら、TVで僕のことを知った受刑者達が集まってきて、「お前のこと、昨日ニュースでやってたぜ!」、「お前は有名なテロリストなんだな!」、「アーティストなんだろ?お前は悪くないよ!心配すんなよ!」、「サインくれよ!」などと、まくし立てられ。

 

反対運動の盛り上がりが司法を動かすことになり、そのまま裁判所に連れて行かれるとすぐに釈放が決まりました。胸をなでおろして法廷を出ると、そこにはアメリカと日本のテレビカメラが待ち受けていて、囲み取材を受けるという驚きの展開に。アーティストとしての自由を奪われ、精神的な苦痛を受けたことに対し、「ニューヨーク州を訴えるべきだ」、という声もあったのですが、住民に迷惑をかけたのは自分の蒔いた種でもあり、多くの友人達の手助けで日常の生活に戻れたことに感謝する気持ちがいっぱいで、そんな行動を起こす気にはなれませんでしたね。そんなこともあり、多くのニューヨークの友達から、「お前はすごいラッキーだ!ベスト・ニューヨーカーだ!」と言われるようになりました。

 

自分自身から生まれてくるモノを楽しむ

 

—作品作りで、特に影響を受けた人はいらっしゃいますか?

 

特に思い浮かぶ人もいなくて。自分の中では、日々の生活の中で見つけた路上の風景やゴミや、暮らしから受ける心の動きを大切にしています。若いアーティストとよく話すのですが、道を歩く時はスマートフォンを仕舞って、ヘッドフォンも外して、自分の5感を全てオープンにして、世界と向き合うことが大切なことだと。経験や学習を否定はしませんが、インスピレーションは、美術館に行く必要も無いし、有名な作家、作品を見なくてもいいし、自分が世界と向き合う知覚の中から生まれてくる、そんな風に思っています。

 

ニューヨークの日常はとても面白くて、地下鉄に乗り合わせた人のファッション、存在も個性的で、こちらも向こうを見るのですが、相手もこちらを見て、時には声をかけたり、コミュニケーションが生まれたりします。東京の人は、他者に目を向けず、目を瞑ったり、スマートフォンを見ていますよね。多分その違いは、世界に、外部に心を開いているかどうかにあるような気がします。後は、ニューヨークの人は好奇心が強いのかもしれません。

 

—宮川さんの今、そして今後について教えて下さい。

 

クライアントワークだけでなく、ミニマルなアート作品も作っています。実は一番クリエイティブで、やりたいことなのですが、実用的では無いことも確かで。自分の中では、頭に浮かんだインスピレーションに任せ、作品と割り切って、時間軸も考えずに形にしています。

 

バランスとしては8割、9割はクライアントの為に、僕の作品を気に入っていただき、使っていただける人の為に使い、残りの1割2割は、自分の為に、日々のインスピレーションから導かれた、もしかしたら何の役にも立たないものを形にすることに使っていきたいですね。

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条件が合えば、世界中の色んな人に自分の作品を見ていただける機会を作っていきたいですね。今年は、ドイツのミュンヘンに招待されて、作品を発表させていただきました。作品よりも、作っているプロセスが面白いと感じていて、デザイン画をおこした1/12サイズの模型や、自分の作業の過程を固定カメラで撮影した映像も展示させていただき。作品はそのままベルリンにも巡回しました。

 

作品作りといことでいうと、実は自分自身にも今は具体的なイメージが無いんですよ。自分自身で、これから自分の中からどんな発想が生まれるか、どんな仕事をしていくのかが楽しみで仕事をしているところがあります。いつも自分の中から生まれくるものに驚き続けたい、そんな風な姿勢を持ち続けていきたいですね。

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Interview & Text YASUSHI FUJIO
Photo MOTOYA SAHARA

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