心に浮かぶ感情を、ひとつひとつの作品に込めて。
CANALIZE meets Mai Kurosaka 画家 黒坂麻衣

2019.01.11

日々生まれるモチーフを形に

 

—アートワークとクライアントワークではご自身の中で変化する事はありますか?

 

クライアントワークの方が制約が多いのですが、逆に自分以外の編集者の方だったり、クライアントの方とのコミュニケーションを通したチームワークのような感覚でプロジェクトが進行して行くので、自分と向き合うだけのアートワークとは違った広がりを感じる事もあります。

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アートワークについては、より個性的で強い表現が許されるように感じていて、作品がギャラリーで並んでいる状態をイメージして、よりエッジの効いたアウトプットを目指しています。

 

—作品作りの中でモチーフに変化はありますか?

 

最近は自分の作品としては代表的な鹿をモチーフにした作品が以前より減ったように思います。ポップ感の強いモチーフから、少し遠ざかりつつあるのかもしれません。

 

今は人と動物が融合したような空想上の存在、想像上のクリーチャーをモチーフとして描いて行きたいと思っています。動物でありながら自死を選択するような、人という存在の悲しさ、業みたいなものについて考えはじめたことが、そんなイメージに繋がっていきました。

 

1年後くらい先に個展を考えているのですが、「愛すべき異形の者たち」というテーマで、人と動物が融合した架空の存在を描いた作品を中心に展示できればと考えています。

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【角の生えた少年】

 

—作品のアイデアはどのように浮かびますか?

 

何かが降りてくるといいますか、日々の生活や、映像作品、著作、表現に触れる中で、頭の中に作品のアイデアが漠然と浮かび、それがこびりついているような感覚があり、そのイメージをひとつづつ具体的な作品として、具現化しているような感覚があります。

 

最近は「エメラルドグリーンの馬」という漠然としたイメージが頭の中に浮かんでいるのですが、作品を作り始めたら早いタイプなので、まずはそのイメージをキャンバスに具現化して行きたいですね。

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本の装丁用のイラストなどは、本を読ませていただいた後に、その表紙のカラーのイメージが夢に出てくるような事もあります。作家の島本理生さんは、私の作品をどこかで見て頂いたようで、ご本人からの指名で『匿名者のためのスピカ』表紙のイラスト描かせていただきました。文章に鋭い色彩感覚を感じる方だったので、その作品世界を自分なりに表現できればと思いながら描きました。

 

—映画からの影響を感じさせる作品も多いかと思うのですが?

 

ゴダールとか、タルコフスキーとか、ビクトル・エリセの映画のシーンとかを描いた事もありました。今は『13回の新月のある年に』で知られるドイツの監督のライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの世界に強く惹かれていて、そこから感じた事を表現してみたいと思っています。

 

その他エリック・ロメールや、アンゲロプロス等々ヨーロッパの監督作品が好きなのですが、原色というよりも、中間色というか、シックな色調が自分にはしっくりきます。

 

あとは、ドストエフスキーに代表されるロシアの文化にも傾倒していて、特に『カラマーゾフの兄弟』のアリョーシャという繊細な、天使的な少年のキャラクターはいくつかの作品のモチーフになっています。小さい頃、雪国で育った事も、ヨーロッパ、ロシアの文化、風景に惹かれる理由のひとつかもしれません。

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【柵に座る女性】

 

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Interview & Text YASUSHI FUJIO
Photo MOTOYA SAHARA

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