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2016.02.23

CANALIZE meets Hirofumi Kurino  INTERVIEW

システムによって破壊された
ファッションのこれから

CANALIZE meets Hirofumi Kurino

栗野宏文/Hirofumi Kurino
1953年生まれ、ユナイテッドアローズ クリエイティブディレクション担当 上級顧問。大学卒業後、鈴屋に1年ほど勤務した後ビームスへ入社。ファッションにおける経験と実績を積み、1989年にユナイテッドアローズの立ち上げに参画、数々の要職を経て現在に至る。ツイードをおしゃれに着こなし、街を自転車で楽しく走ることを目的とした『TWEED RUN TOKYO』の実行委員長。今年、Vogue.comにて「ファッション界で最もスタイリッシュなメンズ30人」のひとりにも選ばれている。

“考えて着る”ことが生む
服を通した自己発見や再認識

 

――栗野さんはモノを買った先の何かをつくり出そうとしているように思えます。

 

「そうですね、ツイードランはその一例です。服を着ることの楽しさを提供しようと思って始めたことです」

 

――着ることの楽しさを提供するというお話ですが、栗野さん自身が日常のなかでファッションにおいて楽しさを感じたり、こだわったりするのはどんなことですか?

 

「こだわっているようで実はあまりないんですよね(笑)。強いて言うなら“惰性でおしゃれをしない”ということでしょうか。毎日毎日『何を着るか』を考え洋服を選んで家を出ています」

 

――具体的にはどのようなことを考えるのですか?

 

「一つ簡単に言うと、色については考えますね。今日は同じ色で統一してみようとか、今日は綺麗な色を着ようとか。そして、“きちんとした格好”“男っぽくいこう”など、テーマを決めたらそれに従った上で服を着る、そこは貫いています。家を出てから『何かが違うな』と思ったら、遅れそうでも家に戻ることもありますよ。“着る”という行為は、自分にとってある種パフォーマンスでもあるから手抜きしちゃいけないというか」

 

 

――考えて服を着るということは、そのときの気持ちともリンクしそうですね。

 

「気持ちが上がっている時は着こなしもうまくいくし、気持ちが下がっている時は着こなしで気分をあげようとします。服には大きなパワーがあるから、服を媒介としての自己発見や再認識は重要なことだと思うんです。それがただの消費の対象だったり目立つための対象だったりすると、服との関係性が清くなくなるし、パワーも落ちていきます」

 

――ライフスタイルの中でお洋服が軸ですか?

 

「いやあ、好きという意味での軸は音楽なのですが、音楽で自己表現しているわけではないので。ただ、僕というものや僕の気持ちを人に伝えるのは、自分の場合はやっぱり服なんだろうなと思います」

 

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Photography_MURAKEN
Text_Yuri Nishikubo

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