未来の人々に向けた言葉と

雑誌に込められた「目に見えないもの」

——表現の場としてどうして「雑誌」を選ぶの？

一番の理由はSLAMIXHYPEにいたからなんだけど、ウェブは僕にはスピードが速すぎるんだ。コンテンツがどんどんアップされては消えてっていうのの繰り返しいでしょ？保守的なのかもしれないけれど、子どもの頃にサッカーやファッションの雑誌を選んで読んでいた経験から、SLAMIXHYPEで働いている時に雑誌をつくりたいと思った。それから、直接インタビューをして書いた原稿が未来の人たちに読まれるかもしれないっていうところがおもしろい。The New Orderを手にとったらそれはその人の所有物になって一生その人の手元に残る。本やアートと同じように雑誌も目に見えないものを伝えられるような気がして、僕はそこが好きなんだ。インターネットやSNSではそうもいかないんじゃないかと思っている、これについては様々な意見があると思うけど。

——誰か注目している人物はいらっしゃいますか？

Umit BenanとSasquatchfabrix.の横山大介かな。みんな友だちなんだけどね（笑）個人的にはWalter Van Beirendonckはいつもおもしろいことをしていて、この所ずっと着たい服がなかったんだけどようやく出てきたなって感じています。誰か一人に絞れないんだけど、フォトグラファーには興味深い人がたくさんいて、彼らが何をどのようにみているのかとても気になります。彼らはそれぞれが異なる目を持っているから。たとえば大道森山はいつもおもしろい視点で作品を発表していて注目しています。

——いろんなジャンルにアンテナを張っていると思うのですが、今後注目すべきトピックって何かありますか？

うーん、「オリジナリティ」かな。インターネットのおかげでいろんなものにアクセスしやすくなって、簡単に知ることができるようになった。ネットで検索することもそうだし、ツイッターのようなSNSもそう。だから「オリジナルなもの」にすごく興味がある。たくさんのブランドが昔のものをつくりかえて新しいアイテムをつくっている。それらは素晴らしい。たとえばvisvimは素晴らしいアイテムをつくって、それはとても高価なものになる。一方でSasquatchfabrix.はちょっと変わっていてとても日本的なアイテムをつくっていて、たとえばスカジャンをみて僕の友人は「ヤンキーだ！」って言うんだ。もちろんそうなんだけど、デザイナーの横山さんはとってもユニークな目を持っていて、オリジナリティに溢れたアイテムをつくっているよね。