出会いへの感謝と喜び、なりたい自分を追求するなかで
CANALIZE meets Masako Nakagawa|写真家 中川正子

2019.07.01

—初の写真集<新世界>を出版されて、反応はいかがでしたか?

東京・青山で展覧会を行ったのですが、そこには想像をはるかに超えてたくさんの方が来てくださって、東北の被災地からわざわざお越しいただいた方もいらっしゃって、心からありがたかったです。私が会場で直接お会計をさせて頂いたのですが、みなさまの大切なお財布から出して頂いたお金を受け取った時の感覚は、言葉に表すことができません。ある種の怒りのようなものに満ちていたお金が、きれいに浄化された光るお金になって還ってきたようで、眩しく感じました。その後、その時に頂いたきれいなお金で次の写真集を出版しました。

写真集 <新世界>2012年

写真集<IMMIGRANTS>2013年

写真集<ダレオド>2017年

写真集<Rippling>2019年

 

写真家としての自信、とらわれていた感覚からの解放

—写真以外の仕事をやろうと思ったことはありませんか?

他の仕事に就こうと思ったことはないですが、ご縁をいただいて色々なことを手掛ける様にはなりました。

若い時はまだ女性のフォトグラファーが珍しく、私のファッションがギャル寄り(笑)だったこともあって、面白がった方から、「テレビに出ないか」 などと色々声をかけて頂くことがあったのですが、本業ではないところで出ていくのが違うかなと感じて、お断りしていたんです。でも最近は、自分の本業に自信が出た部分もあるので、頂いたお話は違和感がなければ、“ありがたいご縁だな” と思って制限せず積極的にやらせていただこうと思っています。たとえば、こういったインタビューや被写体のようなことも、よい機会があればありがたくやらせていただいています。それから、文章を書くのが好きで書いていたら、「エッセイを書いて」とご依頼いただくことも増えました。“写真家だから写真だけ”というこだわりが、ここにきてやっと無くなってきたような気がします。

今年の5月に、<fua accessory>というアクセサリーブランドとのコラボラーションで、小説のようなものを書いたんです。デザイナーさんからオファーを頂いて、当然私の写真と何かやりたいのかなと思っていたら、「写真もだけど、正子さんの書く物語と何か作りたい」って言ってくださって。文章は、日々のことをつらつらと書いてはいましたが、創作したことはなかったので、はじめは“できるかな?” と思いましたが、“やってみたい”と強く思ってやらせていただきました。驚くほど楽しかったです。

<モキク>fua accessoryとコラボレーションした作品

 

—思いがけない出会いから広がる新しい可能性

声をかけてくださったデザイナーさんとはずっと知り合いだった訳ではなく、SNSでお互いを見つけて、一度お会いしましょうと、展示会でお会いしたのが始まりです。出会いがどこに転がっているかわからないけれど、そんな風に重要なきっかけをすっと差し出してくれる方が突然現れるということがずっと切れ目なく続いていて、とてもありがたいなと感じています。

彼女はとてつもない確信とともに「正子さん書けます」って言ってくれて、「そうかな、じゃ書いてみるね」って。そんな風に言われないと、私は “エッセイは描いていたけど小説は違うな“って思ったままもっと時間がすぎていたと思います。その時は彼女の世界観をインスピレーションの素にして書いたのですが、今度は機会を作って一からオリジナルの小説を書いてみたいと思っています。

私は写真家になりたかったというよりも、たまたま手に取ったものが写真で、それがとてもフィットしたのかなって思っています。もっと踊れたり歌えたり演技ができたりとか、ほかの表現方法があったら、そっちに行った可能性が十分にあって、でも写真に出会ってぴったり合ったからここまでやってきた。もちろん写真は今後ももっともっとやっていきます。でも、そもそもは写真を撮りたかったというより”表現したかった”というのがベースにあるんじゃないかなと、振り返ると、そのように思います。

ですので、文章というツールも獲得しつつあるのであれば、それはせっかくなのでもっと本気で磨いて行きたいし、他にも何か表現できる方法を見つけたら、それも躊躇なくやれたらいいな と思っています。

Fin

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作品提供:中川正子
Text:Yurina Goto
Interview Photo:CANALIZE editorial team

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