好きなものを追求することで、自分と店をアップデートする
CANALIZE meets Anri Maeda| ワインとおつまみの店<vanmari(ヴァンマリ)>オーナーソムリエ、シェフ 前田杏理

2019.11.05

—小さい頃のことについて教えてください

東京で生まれて育ち、15歳の時からしばらく父の転勤のため神戸で暮らしました。両親は私をとても自由にのびのびと育ててくれましたが、私は、自分から何かしたい、と物事を進めるようなタイプではなく、何となくのんびりと過ごしていました。

母は専業主婦で、料理教室に通い家でラザニアやババロアなどを作ってくれたりして、私は横で見ているだけでしたが、子供のころから料理には何となく関わっていました。毎週末には祖父も一緒に外食することが多く、食べることも大好き。色々なものを食べさせてもらっていたおかげで、つくり方がわからなくても最終形を予測して、味をどこで決めたらよいか というのが自然に身につきました。小さいころの体験が今の仕事に生きていると実感しています。

 

 

—会社勤めを経て、飲食の道に進んだのですね。

大学の時には、父がマスコミ関係で仕事をしている縁で、ラジオ局でアルバイトしていました。初めての就職もラジオ関係の会社。飲食の道に進むまでは親の敷いたレールに沿って生きてきたような感じです。

29歳の時に、会社の先輩に“やりたいことがあるなら出ちゃった方がいいよ”と言われて。15歳から関西に住んでいたのですが、ずっと東京に戻りたい気持ちがあったので、まずは東京の会社に転職しようと実行に移しました。転職先では約1年の契約社員だったので、働きながら次に何をしようと考え、“やっぱり料理を勉強したい、好きなことを仕事にしたい”と思うようになりました。それで、とりあえず料理を極めようと思い、服部栄養専門学校に1年間通って調理師免許を取得して。大人になって学校に入って真剣に勉強をする機会ってなかなかないことですし、楽しく学生生活を過ごしました。若い方から年配の方までいろいろな年代の方がいましたが、みんな共通の“食べることが好き、飲むことが好き”という人たちなので、一緒に食事したり旅行をしたり、すごくいい時間を過ごせたと思います。

 

専門学校に通っている間に、別のクッキングスクールの講師をしたりもしていたのですが、飲食の道に進んで初めに重要な経験をさせて頂いたのが、バイトで雇っていただいた<BISTROT La Pomme de Pin>でのことでした。

 

—いよいよ、飲食での仕事がスタートしましたね。

Pomme de Pinの松本シェフは服部栄養専門学校の先輩で、私をすぐ受け入れてくれました。それまで私は仕事への姿勢が甘く、シフトに入っているのに忘れていて、“杏ちゃん、今日仕事入ってるけど、どうなってるの?”と連絡が入るくらい。ほんとにダメだったんですけど、松本シェフの指導で、人間形成をして頂きました。接客とはなにか、良い笑顔はどんな笑顔か、ワインもここで学び始め、ソムリエ試験を受けようと思ったのもここがきっかけでした。

4年半働いて、ワインのことをもっと学びたいと思い、西荻窪にある<organ(オルガン)>というお店のオーナー、紺野さんを訪ねました。organはナチュールワインの聖地のようなお店です。希望が叶い採用が決まったのですが、ちょうどその時、紺野さんのお友達が新しくお店を出すことになって、“うちに来る前に2週間位手伝ってあげて”と言われて、手伝いに行ったのが西麻布の<Le Bouton(ルブトン)>でした。

Le Boutonの杉山氏シェフは一人でお店をやるつもりだったのですが、しっかりしたレストランで、とても一人でできるような感じではありませんでした。杉山シェフの大変さを目の当たりにして、2週間お手伝いする予定が、1か月、3か月となり、紺野さんから、“杏ちゃん、もうすぐ来れるかな?どうなってる?”って。

 

紺野さんのところではワインを学べるし、杉山さんのところではお料理を学べる。どうしようか悩んだ末に、“すみません、Le Boutonに残っていいですか?”と切り出しました。紺野さんは快く送り出してくれて、Le Boutonでは5年間お世話になりました。そんなことを経て昨年独立したのですが、今でも紺野さんも杉山シェフも仲良くしてくださって、本当に感謝しています。

 

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Text:Yurina Goto
Photo:Takuya Saito

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