素材をアイデンティティに進化していくブランド、WISLOM
CANALIZE meets HIROSHI TOHNAI|WISLOM

2017.12.11

――素材選びはどのように進めていくんですか?

「糸から選ぶことも多いんですね。デザインの要素として、生地づくりも大事ですから。各産地の工房や機屋さんの元を巡って、試行錯誤しながらものづくりをしています」

──ほんと、実験的な姿勢ですね。

「そういう意味でも、シーズンが変わるとアイテムを全部入れ替えるのではなく、そのまま継続させたり、素材をアップデートさせたりしながら進化していくブランドなんです」

──良いものはずっと長く使えるように、定番化していくというか。それも徐々に時代に合わせてブラッシュアップしていくと。

「そうですね。僕らが当たり前のように使っているスマホも、他人とコミュニケーションが取れるという基本がありつつ、機能が徐々にバージョンアップしていっていますよね。それと似た感覚かもしれません。“道具としての服”という側面での捉え方ですね。ファッションとはまた違う視点ですが」

──トレンドに迎合せず、良いモノを長く使うという動きも増えていますが、そうしたことも意識されてますか?

「はい。僕自身、20年前に買ったTシャツが捨てられなくて、破れたり擦り切れたりして着れなくなるまで着ちゃうタイプなので。それにアパレルアイテムって、年月が経つと買えなくなってしまうものもあるじゃないですか。ヘインズのTシャツやコンバースのスニーカーなど、定番品はいいんですけど、そうでないもののほうが多いですから。消費者目線で考えると、WISLOMではそんなふうにもう一度買いたいと思えるアイテムをお届けしたいですし、同じようなアイテムを数年後にも購入できればいいなと思います」

──アウターは天候によって売り上げが大きく左右される商材ですから、ビジネス的な大変さもあるのでは?

「確かにそれはあります。ただアウターだけでなく、トップスやトラウザーも展開はしているんです。たとえば、今日僕が穿いているパンツもウール100%なんですが、スーパー140sという極細繊維を使っています。ドレスアイテムに多用される生地で、光沢が美しいのですが、そこにクライミングパンツ的な要素を取り入れました。一般的に、パンツは立ち姿が美しくなるように仕立てられているのですが、これは動いたり座ったりしたときに楽になるように作ってみたんです」

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Photo_MURAKEN
Text_HIROYUKI YOKOYAMA

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