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2016.05.09

CANALIZE meets The fin  INTERVIEW

音楽をやるということ、
そして4人である理由

CANALIZE meets The fin

PRODUCER

The fin./ザ・フィン
Yuto Uchino(vo,g,syn)、Ryosuke Odagaki(g)、Takayasu Taguchi(b)、Kaoru Nakazawa(ds)。神戸出身の幼馴染4人で2010年より活動をスタート。2014年に『Days With Uncertainty』をリリースし、日本全国でのライブ出演はもちろんのこと、USツアーやアジアツアーを敢行し世界中から注目を集めている。2016年3月16日にはミニアルバム『Through The Deep』がリリースされた。

Yutoがつくった音に3人が加わって

4人の音楽になっていく

 

――もともと皆さんが音楽を始めるきっかけはなんだったんですか? とくにYutoさんは作詞・作曲も手掛けているかと思いますが。

 

Yuto Uchino(以下、Y)「何かを始めるきっかけってほんと簡単なことで、僕の場合は単純に音楽が好きだったから。家にギターがあって触ってみたら楽しくて、いつの間にかのめり込んでっていう、いわゆるキッズの感覚ですよね。昔はコピーをやってたんですけど、同じ高校にオリジナルのバンドがいて……そいつらすごかったんですよ。コピーバンドじゃこれ以上先には行けへんっていう状況に直面したから、曲つくらなあかん! って。そこから毎月曲をつくるようになりました。

 

――楽曲制作は最初から最後までYutoさんが?

 

Y「俺がデモをつくって、バンドで演奏するというスタイルで安定してきてます。今までもデモを最初につくってきたんですけど、もっとシンプルな打ち込みで、シンセと俺の歌だけだったんですよ。それを元にみんなで音を出してつくってたんですけど、今はデモの段階からしっかり練るようになりました。

 

――つくる前の段階からメンバー内で話し合うこともあるんですか?

 

Y「昔から曲をつくるのは俺が単独でやってます」

Takayasu Taguchi(以下、T)「それをみんなで装飾していく感じ。Yutoがつくるものに対しては衝突しないんで。いつも違和感なく受け止めてます」

Y「結果としてThe fin.になるって感じだよね。俺も今のスタイルがやりやすいから、これができなくなったら存続難しいかも。俺がやりたいことをめちゃくちゃできてて、そこにプラスしてくれるからすごく嬉しいです」

全員「(笑)」

Y「けど、プレッシャーもあるよね。みんながいるからやれる部分が大きいかな、やっぱり」

 
「音楽が好きだから音楽をつくる」から

「自分の中から生まれるものが結果的に音楽になる」へ

 

Y「大学生になった頃、『なんで人間は音楽をつくっているんだろう』とか『なんで世の中にアートがあるんだろう』とか『なんでこの人はずっと1つのことを継続してやっているんだろう』とか、そんなことが気になってきて、ただ音楽が好きで音楽をつくっていた自分から、自分で音楽を生み出すってことにだんだんと価値を見出しました。今は自分の中から出てきたものが結果的に音楽だったっていう感覚です」

――その変化には何かきっかけがあったのですか?

 

Y「その感覚を掴み始めたきっかけは絵画なんです。モネが好きで、ひと目見ようとフランスのオルセー美術館に行ったとき、館内を進むごとに銃弾で打たれたような衝撃を受けたんですよ。『なんでこの人は描いたんだろう』ってことにフォーカスが当たったっていうか。自分が見えてる景色とか考えてるものってアウトプットしないと外には出ていかないし、人それぞれ違うものを持っていると思うんですね。モネという人間が、ある景色を見て描くから彼の作品になる。しかも彼の作品って、ただ綺麗なだけじゃなくて濁ってるようにも見えるし、よく見たらぐちゃぐちゃなところもあるんだけど、そういう部分を通してモネの人間性が見えてくることの価値に気づいて、俺もそうあろうって思うようになりました。そういうスタンスで曲を書くようになってから、びっくりするくらい人に聞かれるようになったんです」

 

――心境の変化がそんなにも曲の変化に影響するんですね。今はどんな心境で音楽と向き合っているんでしょうか?

 

Y「最近は俺らの曲がどんどん人に聞かれるようになって、こうやって事務所とも契約して、初めてプレッシャーを感じるようになって、より音楽や作品に向かっていくピュアなパワーが必要になってきた自分もいます。この前『PARTICLE FEVER』っていうドキュメンタリー映画を観たんですけど、そこに出てくる科学者たちは存在するかどうかもわからない彼らの理論上の粒子を追い求めているんですよ。何十年もかけて、もし粒子がなかったって証明されてしまったら、その人たちがやってきたことは無駄になってしまうわけです。それでも、ひたすらピュアに自分の中の真理を追い求めて突き進んでいくっていう姿勢が、俺がアートをやる姿勢となんか似てて。自分も考えたり、音楽をやったり、音をつくったりってことを通して、人間が人間にしかわからない真理の形を示せるんじゃないかと思ってるから。人間が持つDNAってものは、環境に順応して変化してきたデータの積み重なりで、そこの最到達点に俺たちがいる。その歴史を背負った俺たちがピュアになって、何かを追い求めて、最終的に到達したものにはどんな意味があるんかなって。自分が信じてるものが全然間違っているかもしれないけど……、ロマンを感じるんですよ」

T「その姿勢にね」

Y「そうそう。そこを追い求めているうちは、俺は生きてる感じがする。それが今の核になってるかな」

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photo: Ryo Yoshihashi
text: Yuri Nishikubo

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