人の心を、社会を動かす、ファッションという魔法に導かれて。
CANALIZE meets Michiko Nakayama|ファッションデザイナー 中山路子
—『MUVEIL(ミュベール)』は、“スズラン”(フランス語でmuguet)と、“身にまとう”という英語のベール(veil)の造語とお聞きしたのですが、どのような思いを込めた言葉ですか?
すずらんは、一見すると枯れやすく、儚く、可憐な存在なのですが、実は根には強い毒性を持っているという、見かけと違った顔を持った花なんです。それはどこか人間の中の多面性、多様性、目に見えない強さや怖さ、魅力にも繋がっているような気がして。
表面の綺麗さだけではなく深い部分に潜む毒をあわせ持つような女性の美しさや不思議さを表現したかったことと、自分の作るアイテムにもそんな相反する要素を盛り込みたいと思い。
そしてそのアイテムを纏い包まれることで、着ていただく方にも多様性のある、時に矛盾を孕むような美しさを感じていただきたい、そんな思いを込めて名前をつけました。
—ブランドを設立から、多くのコレクションを重ねていらっしゃいますが、壁のようなものを感じられたことは?
常に壁を感じていますね。本当に作りたいモノを突き詰めてゆくと、工程、コストに際限のないアートピースになってしまいます。でも、スタッフたちとずっと一緒に仕事をしていたいですし、それには事業として継続できなければなりません。ブランドの運営は様々な人たちの力を集めて進めて行く事なので、常に自分自身にも問いかけながら、周りの人たち、スタッフとの意見交換を心がけています。
ファッションはトレンドにも左右されやすいモノなので、自分のブランドが強い部分が取り上げられる事もあったり、逆にその個性がトレンドと反する流れの時もあったり。
自分のクリエイションの本質を曲げて、トレンドばかり意識してもいい結果に結びつかないですし、ブランドの存在価値も薄れていってしまいます。常にそのバランスをとり続けています。
【年を重ね、想いのままに自分流のおしゃれを楽しむ街のおばあさま達の姿に惹かれるという中山さん。ミュベールのアイコン“グランマ・チャーム”は、そんな中山さんが憧れる女性像の象徴。】
—遡って拝見すると、個性的なコレクションテーマのように感じるのですが、テーマ設定は、どのように進められていますか?
特に法則性やこだわりも無くて、、、。普段の生活の中で本やアート、映像作品を見て感じたことや日々の中で社会に対して思うことだったり、そんな心の動きがぼんやりと“かたまり”として自分の中にあって。それを映像化したり人に伝えようとした時に浮かんでくる人物像だったり、映画や小説等の作品、その中の言葉、そんなものがヒントになることもあります。
ただ、それをそのまま人に伝えたい訳ではなく、それをモチーフにユニークな部分、あまり知られていない側面等まで掘り下げていくと、“引っかかり“のようなものが生まれ、そこからテーマが生まれていくように感じています。
洋服を着ていただく人には特に意識してもらいたいとは考えていなくて、漠然としたイメージとして感じて貰えれば、そのくらいの気持ちでテーマ設定をしています。
中山路子(なかやま みちこ)
東京都出身・服飾学校を卒業後、大手アパレルメーカーに勤務。2002年、「MOSSLIGHT」の設立に携わり、2006年春夏コレクションより海外進出。2007年春夏「MOSSLIGH」解散後、2007-2008年秋冬より『MUVEIL(ミュベール)』として新しいスタートをきる。2017年6月、新ブランド『M(エム)』を発表。
MUVEIL 公式HP→ https://www.muveil.com/ Instagram→ Here
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