2016.05.02
CANALIZE meets James oliver INTERVIEW
コミュニティがつくりだす
現在と未来へのメッセージ
CANALIZE meets James oliver
ジェームズ・オリバー/James Oliver
from THE NEW ORDER and her. magazines.雑誌 “THE NEW ORDER” および “her.” 編集長。ニュージーランドで生まれ、プロのサッカー選手として活躍したのち2007年に来日。2009年に男性誌「THE NEW ORDER」を創刊し、編集部を持たず世界中のコントリビューターとともに制作を続けている。また、昨年2015年には新たに女性誌「her.」を創刊した。
コミュニティが雑誌を、
雑誌がコミュニティをつくる仕組み
——The New Orderの記事の核となるものは一体何なのでしょう?
コンテンツの50%は日本のネタでそれ以外は世界中のことだけど、常に自分の興味やマーケットの状況は変わるからそれ次第でもあるね。いま日本では『Sasquatchfabrix.』や『UNUSED』のような若くてまだ小規模だけれど実力のあるブランドが誕生しているからすごく楽しいんだ。日本で生活しているからこそ、知りたいことは沢山あると思っているよ。生活しているから日本に関するコンテンツを増やしていくことは簡単にできるし、アメリカやフランスには情報を共有してくれる素晴らしい仲間がいるし」
——じゃあコンテンツはあなたの興味次第で決まっていくということでしょうか?
「100%そうだね。あとは周りの友人たち、彼らはよく家に来てお酒を飲んで、最新の話題についで話すんだ。『次号はどうしようか』って。ファッションに関係することだけに統一するのはやめて、ファッション以外のことも扱うようになっていくかもしれない。たとえばすでに岡野弥生さんがやっている「新吉原」を紹介したことがあって、あれは変だっていう人もいるけど僕は好きだよ」
——記事の元となる情報の収集はどのようになさっておられるのですか?
基本的には友人だね。旅行すればそれももちろんだね。僕はThe New Orderは自主的なコミュニティだと思っているんだ。情報を交換し合うだけじゃなく、モデルとしてだったり、無償で参加してくれることもあるよ。撮影の時間が十分にあまりとれない時はそれが友人のブランドの企画だったら仲間内で制作することもある。読者のためにも、コミュニティの仲間たちとはアイディアを交換したり人を紹介しあったりというできるだけコミュニケーションをするようにしてる。それはコミュニケーションであり、エデュケーションともいえるかもね。ブランドつくった人にはその裏側のストーリーを聞いたりね。ただブランドをもつってかっこいいから始めました、そう人は好きじゃないんだ。ブランドっていうのは本質や哲学やコンセプトが反映されたものをつくる必要があると思うから。
——あくまでつくり手はジェームズさんお一人で、コミュニティの人間関係から雑誌がつくられていくということですね。そのコミュニティは時間が経つにつれどんどん拡大してきたように思います。
「まさにその通りだね。仕組みは単純で友達が友達を紹介してくれるだけ。おもしろいのは、最初だけやり取りして今ではもう付き合いがない人もいれば今でも会う人もいること。時が経つと変わってしまう人もいるからね」
——海外を訪れて情報やインスピレーションソースを収集するということはありますか?
「うーん、昔ほどではないかな。今は妻と2人の子どもがいるし、もう少し旅行できたらなとは思うけど、ファッションに関しては、今はどこにいても情報収集に支障がないからパリやロンドンやニューヨークはそんなに興味ないかな。たとえばモンゴルとか北朝鮮のほうが今の僕にとっては興味深いよ」